第19章 I am a boy
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『轟くん』
くるみの教室に行こうとしていた廊下の途中で、
かけられた声に振り返ると、何日かぶりのくるみがひらひらと小さく手まねきしてきている。
駆け寄ると、くるみは少し気まずそうに目をそらし
『轟くん…ごめんなさい!』
そう言って深々と頭を下げてきた。
「なんでお前が謝んだ?
謝んねぇといけねぇのはこっちの方だろ」
くるみの肩を起こそうとするが、くるみは未だ体を半分におる勢いで頭を下げたままだ。
『フェロモンのせいで、あんな迷惑かけて…
ごめんなさい…
心配してきてくれたんだよね、なのに…』
その言葉に、心が壊れる音がした。
ーーーフェロモンのせいで
ーーー心配してきてくれた
違げぇ……
違げぇんだ、くるみ。
あの日、俺はお前と番う為に、あの部屋に行った。
お前が嫌がったとしても、噛んでしまえば、お前は永遠に俺のものだ…俺だけのものだ…。
爆豪を好きだろうがなんだろうが、強行してしまえば…
いや、違うな…
それは綺麗事にしかならねぇ。
俺は、お前を噛みたかった。
お前を犯したかった。
その柔らかそうな肌に触れ、その唇で啼かせて、その体の奥底に自分の欲を吐き出したかった。
愛だ恋だ以前の、もっと動物的な衝動…