第17章 I am not your destiny
『好き…だよ、爆豪くん』
「あぁ…」
『爆豪くんしか欲しくないよ』
「あぁ…わかったから…」
『ひぅっ…あ…ぁあ…』
くるみの体がまた温度を上げ、額に汗がにじむ。
ヒートの波が、押し寄せて
今感じている快楽では、体が満足せず、番を求めてフェロモンを吐き出した。
ぎゅうぎゅう、痛いほど締め付けてくる膣内に、己の無力さを感じた爆豪は、薄っすらと涙を浮かべ、くるみの首元を噛んだ。
昨日のように、歯跡をつけるような強いものではなく…。
ただ、番いの行為に似せただけの意思表示…。
無意味で虚しいだけのその行為に、くるみの喉が動いた。
『ばくご…く…』
ヒートの最高潮にくるみの視界は煙ぶり、定まらない視点の中で、爆豪を見つめる。
『つがい…に…してくれて…、あり、がと…』
熱を孕んだ声で、絶え絶えに呟くと、くるみはほんの少しだけ力なく口角を上げてみせた。
だがすぐにまた、耐えきれない欲情に顔をしかめる。
「…くるみ、……くるみ」
情けなくて、切なくて、どうしようもなくて…。
ーーー『番にしてくれて、ありがとう』
なんて…つまり、そう言うことか…?
くるみは、俺の番になったつもりで居んのかよ…
さっき柔らかく噛んだ跡はもうとっくに消えていると言うのに、
あれを誓約にするって言ってんのかよ…
そう思うと、愛しくて…たまらなくなった。
掻き抱いて何度も唇を重ね、腰を打つ。
なんで…俺はベータなんだよ。
そんな、後ろめたさも…少しだけ癒えた。
くるみが俺の番になった…
いや、なったと言ってくれたことが、救いとなって胸を溶かす。
「くるみ…俺の子供…孕め」
ベータとオメガの妊娠率は極めて低い…。
けれど、番えないのならせめて。
くるみが本当に俺のものだと言う証拠が欲しい。
それよりも、動物の本能なのか、フェロモンのせいなのか…
ただ、くるみを孕ませることしか考えれなくなって、最後に打ち付けたと同時に吐き出した。