第17章 I am not your destiny
『ベータ?…ばくごうくんが…?』
愛し合いながら言うのは、卑怯だっただろうが
言うことを選んだのは、きっと
この後また首筋を噛んでほしいと言われるからだ。
首にできた歯あとはカサブタになっていて痛々しい…。
昨日、なんとか番いになろうと
必死に噛んだ無意味さを思うと……とても間抜けだ。
「今朝、病院行ってきた
血液検査もした、間違いねぇ」
『…そっか……』
「そっか、じゃねぇだろ」
納得して、また首に腕を絡ませてくるくるみの体を、ベッドに押し付ける。
『え…?』
「いや、バカか。
考えろ。ベータだぞ」
『うん……ん??』
「俺はテメェの運命じゃねぇ」
『…運命だよ?
だって…好きって言ってくれた…でしょう?』
伸ばしてきた小さな手が爆豪の頬を撫でる。
細い脚は腰に絡み、最奥へと導いてきた。
「っ……運命は、アルファオメガ間のみの話だろうが」
『…んー?そう…かも。
でも、そんなの…カンケーないよ?
だって、運命は自分で…決めるもん
目があっただけで、惹かれ合う…運命のアルファ…
ロマンチックだけど……都市伝説だよ…』
甘い声がだんだん近づいた
首を捉えた両腕に引き寄せられて、鼻先が触れ合った。
「俺じゃテメェを救えねぇ……」
『救ってほしい…なんて言った?』
そう問われて、確かに……言われてない。
くるみはクスクス、いつものように笑うと、そっと唇を押し当ててきた。
『…でも、体は辛いの……たくさん、奥、ついて欲しい…
爆豪くんがいい…爆豪くんじゃなきゃ嫌……
ベータでもアルファでも関係ないよ?
好きなの…大好きなの、爆豪くん…』
途中から溢れる涙で言葉は絶え絶え…
だが伝わってきた気持ちに、爆豪はその小さな体を抱きしめた。