第15章 I am destiny
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「かっちゃん…」
ドアを開けると死にそうな顔のデクが突っ立っとった。
「んだよ、何しに来たんだテメェ」
「かっちゃん…、服くれないかな」
「は?」
「古くても、破れててもいいから…お願いだよ」
頭を深く下げて両手で大きな紙袋を突き出してくるデクに、異常な必死さを感じた。
んでこんなこと頼んでくんだよ……。
仲良くもねぇ俺んとこに来る理由はなんだ
わかんねぇが、コイツの頼み聞くつもりはねぇ
「さっさと帰れ、キモチワリィ」
ドアを閉めようと、ドアノブを引くと、ガッ!という音がして、止まった。
引いてもビクもうごかねぇし、本気で引けばドアがぶっ壊れるくれぇの力
「……縫井さんの…番いになるつもりがないなら…それくらいいいだろ!
ヒートがどれくらい辛いか…アルファのかっちゃんにはわかんないんだろうけどさ…
今だって、縫井さんは…かっちゃんのことだけ考えて…君のことだけを愛して…
アルファだから君のこと好きなんじゃない!
分かってるんだろ!?
別に、番いになれなんて言わない…
ただ、巣を作るのに、君の服が必要なんだ…」
途中から泣きながら訴えてくるデクは、いつもの雰囲気とは違って、明らかに取り乱してやがる…。