第15章 I am destiny
『ぁ…ぁああ…やだ…妊娠したくない…したくない…の』
ヒート時、アルファの射精は3分間に及ぶ…
ゆっくりと流し込まれ続ける熱、くるみはうわ言のように爆豪の名前を呼び続けた。
「何……やってる…」
後ろから聞こえる声に、轟は噛み付いていた肩から口を離した。
ズカズカと近づく足音
「何やってんだ!!!轟くん!!!」
キィン…!と音がして、振り上げられた左手が光る。
重い音ともに、轟は壁に打ち付けられた。
離れた場所から、逆流した性液がゴボッと音を立てて溢れ出てくる。
「…みど…りや……?」
射精して少し理性が戻ったのか、轟の瞳に光が戻り
目の前の現状を理解しようと視線を這わせた。
「俺…は…何を……
くるみ!くるみ…大丈夫か…!」
駆け寄ろうとした轟と、床に倒れるくるみの間に、緑谷が割って入った。
「……いいから、帰って…
轟くん…ここに居たらダメだ…後は、僕に任せて……」
「…でも」
「いいから!!帰ってくれ…」
緑谷は俯いたまま、力を込めて轟の背中を押した。
床に落ちた轟のカバンも押し付けて、無理矢理鍵を閉める。
溶けて千切れたチェーンが、ガチャっと扉にぶつかる音が、やけに寂しく響いた。
「縫井…さん…」
くるみの身体は血が固まった残りがいたるところにこびりつき
床に溢れる精液の生々しい匂いに緑谷は顔を顰めた。
風呂場から持ってきたお湯とタオルで、体や床を拭いてやるも
まだ正気に戻っていないくるみは、手に握ったネクタイをボンヤリ眺めながら爆豪の名前を呼び続けていた
「こんなのって…あんまりだ…」
服を着せ、ベッドに寝かせると
緑谷は机の上にある、この部屋の鍵を掴んで部屋から出る。
走り出した足は、迷いなく進んだ。
彼女を救える、唯一の存在の元へと…。