第14章 I am lonely
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授業もすべて終わり。約束通り、普通科に向かおうとカバンを担ぐと、視界を黄色、赤、黒の3色が染めた。
「なーバクゴー、今日寄り道して帰らね?」
「お前行ったとこNo.4ヒーローんとこだろ職業訓練どうだったか教えてくれよ!」
「なんかまた、スゲー差が開いてそうで怖いけどな」
何も返事せず、そのまま横を通り抜けると、今度は後ろから羽交い締めにされる。
「オイオイ!出し惜しみすんなって!」
「そーだぞバクゴー!」
「てめ!離せ!」
「なに急いでんだよ!別に予定もねぇだろ?」
「あ る わ!舐めんな!」
振りほどくと、アホ面は少しニヤついて、体を離す。
めんどくせぇから無視して廊下に出ると、廊下は教室以上にオレンジ色に染まっていて
あの日、海であいつが言った言葉をふと思い出す…
ーーーー『オレンジ色…爆豪くんの色だね』
時折こうして、胸に浮かぶモノは何なんだ
妙にソワソワして、ムカついてくる。
今日は普通科より、ヒーロー科が遅せぇ時間割だ
一人きりの教室で、このオレンジ色の中で、アイツはオレを待っとんだろうか
そう思うと少し足早になって、
けれども、急いでいる自分自身に気が付いて、
なんで急いでんだろうな、オレは、バカかよって。
わざと速度を落として歩いても、あいつの教室までは1分くれぇしかかかんねぇ
誰もいねぇ普通科廊下を歩いていると、ボソボソと話し声が聞こえて足を止めた。
(この声……くるみだな)
足音を殺し、ポケットに突っ込んだ手を握って、耳を済ませるが
何を話してんのかは聞こえねぇ……
無駄にでけぇドアの隙間から、目を凝らすと
…見間違えるはずもねぇ
赤と白のめでてぇ後頭部
轟とくるみが、小さな机を挟んで談笑している姿だった。
いつからだったのか 思い出せねぇが
何度も、俺の頭ん中がアイツで乱され始めた
浮かんでくる想いは、増えて、 渦をなして
そんな心の変化に狼狽えて……
こんな想いは いらねぇ…
邪魔だろ。
上に行くのに…こんな甘ったりぃもんは、いらねぇんだ