第13章 I am a egg
(名前のまんまじゃねぇか…)
そう思ったが表情には出さないように気をつけた。
「君たちがヒーロー殺しを仕留めた雄英生徒だワンね」
表情の読み取れない顔、頷くでもなく立っていると、面構所長は淡々と話し始めた。
「逮捕したヒーロー殺しは、火傷に骨折となかなか重症で
現在は厳戒態勢の元、治療中だワン
雄英生徒ならわかっていると思うが…超常黎明期…警察は個性を部に持ち込まないことを基本とし、その穴を埋める形としてヒーローが存在する。
資格未取得者が、保護管理下以外での個性をつかって危害を加えたこと
相手がヒーロー殺しであっても、立派な規則違反だワン」
「っ……!」
「それにより、君たち3人、及びエンデヴァー、マニュアル、グラントリノ、この6名には厳正な処分が下されなくてはならない。」
言っていることの正当性はわかる。
だが、正しいだけじゃ飲み込めねぇ…
「待ってくださいよ…
飯田が動かなかったら、マニュアルさんは死んでた…
緑谷が動かなかったら、2人は殺されてた…!
規則守って、見殺しにしろって…」
「ちょ、轟くん…!」
ヒートアップする俺を、緑谷が止めようとしてくる。
が、納得いかねぇ…
「結果オーライなら規則は無視してもいいと?
いい教育しているワンね、雄英も…エンデヴァーも」
「この犬…!」
犬に距離を詰めると、あいだにグラントリノが入ってきた。
「まぁ、話は最後まで聞け」
「……というのが、警察の【表向きな】な見解だワン
で、処分云々は、あくまで【公表すれば】の話ワンね」
(公表……?表向き…?)
「その前に…」
俺の疑問を解明する前に、面構所長は振り返りドアを開けた。
『ひゃ!わ…っ…と…』
聞きなれた声に、面構所長の長身に隠れた廊下の方を見る。
「…君たちの友人かな?」
「くるみ…」
「縫井さん!?」
「まったく…立ち聞きとは悪い趣味だワンね
最初から聞いていたのだろう?
匂いで分かってたワンよ。」
面構所長は自分の鼻をトントンと叩いてくるみを見下ろす。
『ご、ごめんなさい……
話が話だけに…動けなくなってしまって……』