第13章 I am a egg
《よか……っ…たぁ……》
たっぷりと時間をかけて、呟かれた言葉に、彼女が泣いているのだと気づく。
《ニュースで、保須が…火の海、って…言ってたから……》
時折鼻をすする音と共に、少し潜めた声
それらに少し違和感を感じながら、轟はなるべく心配させないように答えた。
「少し、巻き込まれたけど…大丈夫だ」
《そっか、よかった!》
《(ーーーゴホン、ゴホン…)》
《(あ、すみません…)》
「もしかして、近くに誰か居んのか?」
咳をした音が男のもの、少しムッとした声が出てしまったが
そんなことも構っていられないと、耳を通話口に押し付ける。
時折聞こえる雑音…
《あ…うん…、居るっていうか…
実は今、バスの中で…》
あたりを気にしているのか、くるみは声を潜めた。
「バス…?」
スマホを一度耳から離して画面を見る。
23:30
「こんな時間になんで、、」
《その…2人に何かあったらって思ったら…
家に居られなくて…もう1時間したら東京に着くの…
考えなしで出てきちゃって…
でも、無事でよかった…》