第13章 I am a egg
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病院に搬送され、治療も終わり、病室のベッドに沈んだのは
11時を超えた頃だった。
ベッドサイドに置かれたトレーに、血の付いたままのスマートフォンが置いてある。
時折チカチカと点滅する緑のランプが、何かの通知を示して居た。
激しい戦闘をのせいで、脳に溢れ出たアドレナリンのせいか…。
ヒーロー殺しの最後…。
あの信念と言うには禍々しいほどの想いを、見ちまったせいか…。
本来なら体は、すぐに寝ちまえるほどヘトヘトに疲れ果てているはずなのに。
脳がやけに冴えて眠れない…。
約10分ほど、目を閉じてみたりはしたが、
やはり眠りにつくこともできそうにない…。
起き上がると、ぎぃ…と安っぽいスプリングの音が響いた。
チカチカ光るスマホに手を伸ばす。
電話が1件。
LINEが3件。
どれも全部、くるみからのものだった。
(ちょうどヒーロー殺しと戦ってた頃に来てたのか…
流石に気づけなかったな…)
もう寝ているだろうか?
そっとベッドと部屋を抜け出して、静まり返った廊下の端までゆっくりと歩いていった。
ペタペタ音を立てるスリッパの音が響く中、階段横の椅子に腰掛けると、そっと発信ボタンを押す。
ルーー
たったワンコールで、通話が開始して
こちらからかけた癖に、心臓がビクッと跳ねた。
《とど……ろき、くん?》
かすれた声が聞こえて、何故かとても安心した。
今更になって思ったのは「生きている」ということ…
自分自身の「生」を、くるみの声で感じて
思わず、ため息を漏らした。
震えた吐息に、もう一度
《とどろきくん、?》
とくるみの声が鼓膜を直接震わせる。
「あぁ…俺だ……
俺だよ、くるみ。」