第12章 I am an Alpha
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今日の爆豪は、いつも以上に絶好調だった。
ヒーロー基礎学が、得意分野のタイマン戦闘訓練だったこともあるかもしれないし、
その相手が切島鋭児郎だったこともあるかもしれないが。
次々に繰り出される爆発の連鎖に、切島は「俺じゃなかったら死んでるぞ!」と叫び続ける。
「まぁ、とにかく今日の爆豪は本調子だったよ」
そう言って聞かせてやると、くるみはウットリとした顔をする。
『すごいなぁー、いいなぁー、一度でいいから見てみたいなぁ』
「そうだな」
『ヒーロー科に編入できるか、ヴィランに捕まるか』
くるみはなんとか爆豪の戦闘を見ようと指を折り曲げながら、その可能性のあるシチュエーションを考える。
「捕まるのは、ダメだ」
『だよね』
『じゃあ、あと可能性あるのはー…、
ヴィランになる、とか?』
いたずらっぽい笑顔を向けて、くるみは俺を覗き込んだ。
「可愛い個性のヴィランだな、どうやって街を襲うんだ?」
カバンに揺れるクマのぬいぐるみを突っついてそう聞くと
『うーん、こう…叩いたり!』
クマのぬいぐるみは、俺の手をポカスカ叩いてくるが、フワフワでまるで攻撃力はない。
「敵わねぇな、極悪じゃねぇか」
『でしょ?』
やっぱり俺は、笑ってるくるみが好きで…
その笑顔が、爆豪にしか作れねぇなら、くるみにはやっぱり爆豪と幸せになってほしい…
昨日1日考えた結果、出た答えはそれだった。