第11章 I am a liar
僕はかっちゃんに、偵察が見つかって爆破されるという想像をして、思わず身震いした。
「の、覗き見は…良くないと、思うんだ…けど…」
「別に覗き見はしねぇ、
店に入って見るだけだ。」
「ひ、1人で?」
「もちろん、お前とだ、緑谷」
「デスヨネー」
かっちゃんは確かに怖い、
というかこの手のからかいに慣れていないかっちゃんが、この場合どれくらいキレるかを想像するだけでゾッとした。
だからといって…
(轟くんを一人にすることもできない…よなぁ)
轟くんは、気丈に振舞っているけれど
好きな子が、好きな人と上手くいっている現場を目撃するわけだから、そりゃ精神ダメージが半端じゃないだろう。
そんな現場に、「轟くん一人で行ってよ」なんて言える?言えないよ…。
青に変わってしまった信号に、カッコウの鳴き声
先を急ぐ轟くんの背中に
そういえば、今日かっちゃん…下校準備急いでたなぁ…なんて思い出して…
曲がった角に見えるファミレスに、
見慣れた背中が3つ…
3つ?
見間違いかと思って目を擦った。
襟足少し長めの金髪、ピンクの肌に天パに角、そして
紫の球体の並ぶ頭の低身長。
「上鳴くん、芦戸さん、峰田くん…
何してるの?」
「ひっ!」
「ぅわ!」
「ギクッ!」
身を縮めて、ファミレスの中を伺う3人が、恐る恐る振り返った。
「なんだー緑谷と轟か…」
「驚かせないでよー!」
「心臓止まるかと思った…」
胸をなでおろしながら小声で話す3人に合わせて
何故か僕まで小声になった。
「何してるの?こんなところで…」