第11章 I am a liar
目が会うだけで嬉しくて…
会うたびに切なくなった。
初めて経験した恋はそんなもんだった。
机に伏せていたくるみが、腕の間からこちらを見上げて、目を細める。
そんな顔をされたら、勘違いしちまいそうになったが
俺は冷静さを顔に張り付けて
「1ポイント」と言った。
『わぁ、よくわかったね!
«モテ仕草6番、突然の上目遣いをしてみる»だよー』
くるみが俺のことを好きなんじゃねぇかって勘違いする瞬間は、これを試されて居る時だけだ。
彼女は嬉しそうにカバンから出したモテ術特集の雑誌を開いて、6番目に横線を引く。
その線はもうとっくに過半数を過ぎていて
残すところ20ポイントといったところだろうか…
ーーー『100ポイント貯まったら、爆豪くんにもう一度告白する!』
その言葉を思い出し、迂闊に渡してしまった1ポイントを悔やむ
このまま、くるみにポイントを取られつづけたら
順当に行けば来週には告白可能ポイントに到達してしまうだろう…
彼女の仕掛けに、ときめかないように気をつけるべきなのか。
それとも、ときめいていても嘘をついてポイントをあげないべきなのか…。
今の所仕掛けられるトラップことごとく引っかかっている俺は頭を悩ませた。
『それにしても、この雑誌ホンモノだったんだねー』
【これで落ちなきゃ男じゃない!】の煽り文句を指でなぞりながらくるみはクスクス笑う。
さすが自信たっぷりの見出しに俺も心の中で同意した。
ただ、そのモテ術が故に、くるみに惚れちまったのか
くるみが好きだから、そのモテ術が効くのか…
それがわかるのは、くるみがそれらを爆豪に試した後だろう。