第9章 I am lucky
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「轟くん」
ノートを3冊、両手に抱えた緑谷が
俺の席の前で立ち止まった。
「どうした、緑谷」
「縫井さんと今日会う?」
少し不安げな緑谷に、俺は首を横に振った。
「いや……」
会わないどころじゃない、連絡もこの2日間返ってきていない。
「そっか…後で教室行ってみようかな
こないだ貸す約束してた中学時代のノート…やっと見つけたんだけど…」
緑谷が軽く持ち上げるCampusのノートの、1冊は何故か焦げ付いていた。
「お前が行くなら、俺も行く」
「そっか、じゃあホームルーム終わったら行ってみようかな…」
迷惑じゃないといいけど…と付け加える緑谷は、どこか浮き足立って見えた。
聞けば、自分のノートが役に立って嬉しいと言う。
その返答が、緑谷らしくて、少し笑がこぼれた。