第2章 I am happy
『ちょ、ちょっと…話しかけてくるね!!!』
ギクシャクとくるみが立ち上がると、エミリとレイナが「「がんばれー」」と見送る。
昨日振られての今日。
その勇気はこの細い体のどこからやってくるのか…エミリは苦笑いを浮かべながら、爆豪へと一直線に歩くくるみを見つめた。
「もっとイケメンとかいると思うんだけどなー」
「そぉ?アタシ結構あの人いいと思うけど〜」
のほほんと煮卵を食べるレイナに、そうかな?と返事をして、話は新しい話題へと向かった。
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『ばきゅごうくん!!!!』
爆豪は、またか、と眉をしかめる。
振り返ると案の定、顔を真っ赤にして立っている女…名前は確かくるみ。
昨日突然好きだとかなんとか言ってきて、はっきりフったはずだ。
それなのに全く懲りていない様子で、『今日もカレー?カレー好きなんだね』と笑う。
「お前な…」
と、爆豪がため息をついた時だった。
けたたましいベルの音と二、三年生が騒ぎ始める声が食堂内に響く。
鳴ったベルは侵入者を知らせる警報で、「避難だ!」とか「逃げろ!」だとか混乱した生徒たちが一度に出口になだれ込む。
『え?な…きゃっ!』
くるみもまた、人波に押されて流されそうになったのだが、爆豪は咄嗟にくるみの腕を掴んで抱き寄せた。
『…ば…ばくご…くん?』
「喋んな」
まるでくるみが押し潰されるのを庇うような仕草に
くるみは俯いて、爆豪に身体を預けるがまま耳まで紅に染める。