第1章 Red Lip
僕はベッド脇のロッキングチェアに身体を預け、2人をじっと見つめる。
虎徹さんは「うーー…」なんて唸りながらまだモジモジとしていた。
普通ならこんな状態に陥れば、怒るなり呆れるなりしてこの部屋を出て行けはいいだけの話だ。
それもしないという事は、虎徹さんの中で『さんに触れたい』という欲望が最大に膨らんでいるんだろう。
今はそれを羞恥と常識で何とか抑え込んでいるだけ……。
欲望に抗い揺れる虎徹さん……
僕は喉を小さく鳴らして、乾いた自分の唇をチロッと舐めた。
「タイガー……」
突然にさんが虎徹さんの頬を両手で包みその視線を独り占めにする。
「え……?
あの……そのッ……」
虎徹さんってば、さっきあれ程ディープなキスを交わしてたクセに、何を今更照れる必要があるんでしょうか?
どうやらさんの方が先に決心したみたいですね。
「タイガー……見て。」
そう言って儚げに微笑んださんの全身がまた青白く発光し始め、僕と虎徹さんは同時に息を飲んだ。
「………ッッ!」
「これが私のNEXT能力。
ね……私を抱きたくて堪らないでしょう?
それは……私の能力のせい。
タイガーは何も悪くないの。
全部…私のせいにして。
貴方には罪悪感なんて必要ないっ………」
そしてさんが言い終わらないうちに、虎徹さんは彼女をベッドへ押し倒し組み敷いた。