第22章 貴方が僕にくれたもの
ピーーーーーーーーーーーーーーーーーー
病室中に響く無機質な機械音。
…………まだ早い。
まだ貴方は77歳で、僕は64歳だ。
まだ早い…………早い、早過ぎる。
まだまだ、この先もずっと一緒に居たかったのに。
「虎徹………さん?」
まだ暖かい貴方の手を握る。
「虎徹さん………」
その手に僕の涙がポタポタと滴り落ちた。
「虎徹さん……
虎徹さん、虎徹さん虎徹さん虎徹さんッッ……」
もう動かない、僕の名前を呼ぶ事も無い貴方の唇に僕がそっと口付けた時……
病室のドアが開いて、息を切らせたライアンが入って来た。
ほら……また素敵なプレゼントが届きましたよ、虎徹さん。
貴方のお陰で、随分と長い間会えなかった大切な友人に再会出来た。
これも間違いなく、貴方からのプレゼントだ。
貴方が最期にくれたもの。
それは貴方の全部。
貴方の生きた全て。
ああ、最高のプレゼントをありがとう……愛しい人。
僕の全ても貴方だけのものだ。
これからもずっとずっと、愛しています………
虎徹さん。
END.