• テキストサイズ

君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】

第1章 Red Lip


店に入り彼女の姿を探してみても見当たらない。

当然虎徹さんも居なかった。

まだ残っていた女性スタッフに彼女の事を聞いてみる。

「ああ、さんなら……」

彼女、『』って名前なんだ。

「先程男性が訪ねて来て、裏口から出て行きましたよ。」

「裏口から……?」

「ええ。
 何か今日の強盗事件について聞きたいとかで。
 あの……あの男性ってワイルドタイガーですよね…って……
 えっ……やだッ!
 貴方、バーナビーさんじゃないですか!?
 私ッ、貴方のファンなんです!
 どーしよお……夢みたいッ!」

急にテンションを上げて僕をウットリと見上げる女性スタッフを、握手と甘いセリフで何とか宥めて……

やっぱり僕のファンは無下には出来ないですからね。

僕は適当にお礼を言うと、ジュエリーショップの裏口に向かう。


スタッフの通用口だろうか……

ジュエリーを扱っている華やかさなど欠片も感じない地味なドアを開けると、そこはビルとビルに挟まれた細い通路だった。

既に薄暗くなっていて、人通りは全く無い。

だけどそこから更に奥まった場所に、僕は2つの人影を見咎める。

その2つの影は重なり合っていて、2人の間に隙間は全く無いようだ。

逸る気持ちを抑え込み、その人影にゆっくりと近付いていけば………

そこではさんを壁際に追い詰めた虎徹さんが、覆い被さるようにしてあの赤い唇を貪っていた。


無理矢理に襲っているのか……

そう色めき立ったけれど、さんの両腕が虎徹さんの背中にしっかりと回っている事に気付き、一応同意の上での行為なんだと胸を撫で下ろす。

それにしても……

僕の存在に全く気付きもせず夢中でキスを交わす2人の姿を見る僕の中に、沸々と湧き上がる奇妙な感情………
/ 461ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp