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君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】

第1章 Red Lip


それから僕達は会社に戻って、これまたいつも通りの書類仕事。


結局あの彼女のNEXT能力は何だったのか不明なままだ。

彼女に触れていた虎徹さんにも特に変化は見られないけど……

ふと隣のデスクに居る虎徹さんに目を向けてみると、何だかソワソワしていて心ここに在らずって感じだ。

まあ虎徹さんが書類仕事に身が入らないのはいつもの事なんだけど。

「どうかしたんですか、虎徹さん。
 何か体調に変化でも?」

僕はパソコンから視線を外さないまま、そう問い掛けてみた。

「いや……別に…
 どこかオカシイとかは…ねぇんだけどさ……
 何かなァ……」

「……何か?」

「うーん……」

「虎徹さん?」

「悪いッ……バニーちゃん!
 オレ、ちょっと出て来るわ!」

「えッ!
 ちょっと……虎徹さんッ!?」

僕の制止なんか聞く耳も持たず、虎徹さんはオフィスを飛び出して行く。

何だろう……この予感。

ゾクゾクするような、それでいてドクドクと鼓動が早鳴るような……

結局は僕も仕事を放り出して虎徹さんの後を追った。


会社を出た所で辺りを見渡しても、もう虎徹さんの姿はどこにも見当たらない。

ここまでの流れで考えてみれば、恐らく虎徹さんはあの彼女の元に向かったんだろう。

だから僕もあのジュエリーショップに向かって駆け出した。
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