第1章 Red Lip
大きく肩を上下させ苦笑を漏らした僕は、「大丈夫ッスか!?」なんてちょっとキョドってる虎徹さんに近付いてみる。
ふーん……その女性スタッフが美人だから照れているんですね。
腰まである長く艶やかな黒髪が肌の白さを強調してる。
綺麗に切り揃えられた前髪、大きく黒目がちの瞳、ルージュを塗っていないのに赤い唇……
まるで日本人形みたいだ。
それでいてボディはグラマラス。
ああ、如何にも虎徹さんお好みの女性ですね。
踞ったままの女性の背中を擦る虎徹さんの鼻の下が僅かに伸びていた事、僕は見逃しませんでしたからね!
「……ありがとうございました。
少し立ち眩みがしただけで……
もう大丈夫ですから……」
鈴が鳴るような柔らかい声色でそう言って、彼女が顔を上げた途端その身体が青白く発光して……
僕の全身がゾワッと粟立つ。
「離れてッッ……虎徹さんッ!
その人はNEXTですッ!」