第21章 背徳のシナリオ ~後編~
翌日、毎度の事ながら遅刻ギリギリで出勤して来た虎徹さんはいつもと変わらない様子だった。
昨夜、自分の彼女が相棒に寝取られたっていうのに……凄いな。
心から尊敬しますよ、虎徹さん。
虎徹さんの態度によって僕も臨機応変に対応を変えようと思っていたけど、貴方が何も無かったように流されて行きたいのであれば、僕だってそれに合わせるだけです。
でもやっぱり僕に笑いかけてくれるその表情は昨日までとは違いますね。
「バニーちゃん」って呼んでくれる声も、トーンダウンしてる。
周りの人達には分からない。
そう、僕だから気付く程度ですけど。
ああ、貴方をそうさせてるのが自分だって思ったら僕は………
堪らなく滾るな。
オフィスに居るのにペニスがエレクトしてしまって、本当に困りましたよ。
その日は珍しく、虎徹さんだけが取材で……
僕はまた彼がライターやカメラマンに狙われたりしないだろうかと気が気じゃなかったんですけど………
それでも僕が付いていく訳にもいかず「じゃ、行ってくるわ!」なんて空元気でオフィスを出て行く虎徹さんを見送った。
そして一人きりのランチタイム。
さて、どうしようか…なんて考えていると………
突然さんが僕を訪ねて来た。