第21章 背徳のシナリオ ~後編~
思ったよりも簡単だったな。
虎徹さんと僕とさんの3人で食事に行った。
昨日の今日でさんは躊躇っていたみたいだけど、虎徹さんが一緒なら…って考えたんだろう。
不自然に拒否するのも虎徹さんに不信感を抱かせてしまいますしね。
そんな状況を作り出せれば、後はもう本当にpiece of cakeだ。
虎徹さんを潰さない程度に酔わせてから僕のマンションへ誘う。
これはいつもの事だから不審さは微塵も無い。
そうなれば当然、虎徹さんは「さんも一緒に…」って言い出した。
流石にさんは「私は帰るよー」って引き攣った笑顔を浮かべていたけど、虎徹さんの可愛らしいお強請りに根負けだ。
それも僕の計算通り。
僕のマンションで自慢のワインを開けて、ここで虎徹さんを酔い潰す。
余程楽しかったんでしょうね。
僕は幸せそうな虎徹さんの寝顔に頬を緩めてから………
ハンティングをスタートさせた。
「………寝ちゃいましたね、虎徹さん。」
「もう、ホント。
子供みたいなんだから、虎徹君は。」
余りにも自然なさんのその言い種に、僕の心は一気に逆立つ。
僕よりも浅くて短い付き合いの貴女に、虎徹さんの何が分かるって言うんですか?
まるで虎徹さんを自分のモノのように表する貴女の口調も仕草も視線も……
全てにイラつくんですよ。
だから容赦はしませんから。