第2章 アイシテイルカラナカセタイ
その後はなんかスッキリした気分でさ、3人で和気藹々と酒を飲んでると
「アラ……噂をすれば。
ねえアレ、ハンサムじゃない?」
そう言ったファイヤーエンブレムが僅かに眉を顰める。
その視線の先へオレとバイソンも目を向けて見れば………
バニーが綺麗な女性をエスコートしてバーへ入って来た。
タイトでシャイニーなグレースーツにアスコットタイをしたバニーと、上品なノースリーブの黒いロングドレスを着た美女……
バニーは美女の腰に手を添えて、柔らかい笑顔で彼女を見つめてる。
彼女も嬉しそうに頬を染めてバニーを見上げててさ……
年の頃もピッタリで、あーゆーのを『お似合いのカップル』って言うんだろーな。
オレが無言でそんな2人を眺めていると、バイソンの鼻息が徐々に荒くなった。
「何だよッ、あのヤロー!
虎徹よりもあの美人の方がイイってのかよ!?」
…………普通そーだろーよ、バイソン。
「ハハッ……」
オレが乾いた笑いを漏らすと同時に
「ああ!」
ファイヤーエンブレムも声を上げる。
「あのお嬢さん、どこかで見た事あると思ったら
このホテルのオーナーの娘さんよォ!
ここのオーナーってアポロンメディアのスポンサーでしょ?」
「……そーいやバニー、
今夜はスポンサーと食事会だって……」
「ホラァ……お仕事よ、お仕事。
どーせお嬢さんがハンサムのファンで、
オーナーに頼まれてサービスしてんのよォ!」
……そーだな。
多分ファイヤーエンブレムの言う通りなんだ。
自分でも思った以上に動揺しちまった気持ちを抑えて、ホッとしてみるものの……
でももし、バニーがオレよりも彼女みたいな女性を選ぶって言う時が来たなら……
オレは…………