第20章 kiss the glasses 後編
「はああああ……」
翌朝のオフィス。
僕がデスクに突っ伏して大きな溜息を吐いたと同時に、虎徹さんが出勤して来た。
「お?
どったの、バニーちゃん?
そんなグッタリしちゃってー!
らしくないぞォ。」
なんて相変わらず呑気な虎徹さんをじとっと見遣り、僕は思う。
昨夜の出来事を彼に話すべきだろうか?
普通で考えれば、スーパーヒーローBBJが自分の部屋まで連れ込んだ女性に逃げられたなんて………
プライドはズタズタだ!
でも…………
さんは違うんだ。
さんはこれまで相手にしてきた女性とは全然違う。
僕のプライドの問題なんかじゃない。
僕はさんを傷付けたんじゃないだろうか?
僕はさんを泣かせてしまったんじゃないだろうか?
さんは僕を嫌いになったんじゃないだろうか?
そうだ……それが何よりも怖いんだ!
だとしたら………正直少しだけ悔しいけど……
既婚者である虎徹さんに相談するのがベストなのでは………
「虎徹さああんッッ!」
「ブハッッ!!」
突然大声を上げて立ち上がった僕に、虎徹さんは飲んでいたコーヒーを思い切り噴き出した。