第19章 Just LOVE 後編
まだまだ募り続ける想いを持て余し、立ち尽くしたままの僕を促してソファに座らせた虎徹さんはキッチンへ入っていく。
そして鮮やかな紙ナプキンに包まれた何かを大切そうに両手で抱えて戻って来た。
「それからなー……コレ!」
僕の目の前でその包みを開くと中に在ったのは……
「……フォーチュンクッキー?」
「そう!
今日はハロウィンでもあるからなー。
可愛いバニーちゃんがイタズラしねーようにお菓子をあげないと。」
………ホラ、また僕を子供扱いする。
だけど「食べてみ?」とか言いながら、キラキラとした目で見つめられたら、その期待に応えないワケにはいかないな。
「いただきます。」
フォーチュンクッキーをひとつ摘んで小さく齧った。
中にはやっぱり小さな紙片が入っていて、カサカサとそれを広げてみると……
『I think very tenderly of BUNNY.(バニーの事が愛しくて堪らない)』
決して上手いとは言えない虎徹さんの文字で丁寧に書かれた言葉。
「………このフォーチュンクッキー、
中身は全部違うんですか?」
「あー……いや。
ホントは全部変えようって思ったンだけどさ。
バニーのコト考えたら出て来る言葉はコレだけでよ……
結局全部一緒なんだ。
ゴメン………だッッ!」
気が付いたら僕は虎徹さんをソファに押し倒して、その唇を奪っていた。