第19章 Just LOVE 後編
「おかえり、バニー!」
ドアが開いた瞬間に弾けるような笑顔の虎徹さんが現れて、僕は泣いてしまいそうになった。
最愛の虎徹さんが僕を毎晩「おかえり」って迎えてくれる日々が訪れたなら、どんなに幸せだろうか。
感動の余り溢れ落ちてしまいそうになった涙をグッと耐えている僕の顔を
「バニィ……どした?」
なんて愛らしく覗き込んで来る虎徹さんを直ぐにでも押し倒しそうになる。
そんな感情も僕は必死で耐えた。
「……いえ。
今日はお招きいただいてありがとうございます。」
「だッ……!
固っ苦しい挨拶なんかいいから、早く入れよ!」
虎徹さんに背中を押されるようにしてリビングに入ると、フワッと良い香りに包まれる。
その理由はと言うと、テーブルの上に所狭しと見事な料理が並んでいて………
「……コレ、全部虎徹さんが?」
「おおッ!
ちょーっと失敗しちまったヤツもあるけどさ……
でもホラ!
バニーの好きなパウンドケーキ!
これは上手く焼けたんだぜ!」
「どうして僕がパウンドケーキが好きだって……」
「だって、毎年誕生日にはサマンサおばさんが焼いてくれたって言ってたろ?
バニーの大事な思い出だからさ……
俺もバニーの誕生日には絶対…って思ってたんだよ!」
「虎徹さん………」
「ずっと練習してたんだぜー。
難しいのな、パウンドケーキって。
なかなか上手く膨らまなくってよォ……」
そう言ってくしゃっと笑う虎徹さんが……
この人が愛おしくないハズがない!
こんなに好きなのに、こんなに愛しているのに……