第2章 アイシテイルカラナカセタイ
「なあ、バニー。
………今夜、どーする?」
バニーの車で一緒に出勤中、オレはさりげなーく聞いてみる。
「は?
今夜……ですか?」
「うん。
この前楓が来て以来さ、ずっとオレんちで会ってたから
今夜はバニーのマンションでゆっくり……
なんてどーかなって思って………」
そう、オレはまだ今朝の妄想に囚われてる。
バニーの部屋で気を緩ませておいてだな……
その隙にオレがバニーを啼かせてやろうなんてセコイ作戦なんだけど。
「僕は虎徹さんの家が好きなんですけどね。
暖かくて、癒されますから。
でも、貴方が僕の部屋へ来たいって言ってくれるのも
それはそれで……嬉しいです。」
オオッ……好感触!
よーし………今夜こそ、オレがバニーを………
「でも……残念だな。」
「へ?」
オレのイキリ立った気持ちが、バニーの悔しそうな表情で一気に萎んだ。
「僕、今夜はスポンサーとの食事会があって……」
「は?
スポンサーと食事?
え……ってか、バニーだけ?
オレは何も聞いてねーぞ。」
「ええ。
ロイズさんの話によると、呼ばれてるのは僕だけだそうです。」
「何だよ……それェ。」
そりゃあさ、いくらコンビを組んでるとは言えスーパールーキーのBBJとロートルヒーローのワイルドタイガーとでは人気に雲泥の差があるのも分かってるけど、こうあからさまに差別されるとやっぱりなァ。
頬を膨らませたオレがプイッとそっぽを向くと、バニーがクスクスと笑う。
「そんなに可愛い顔をして拗ねないで下さい、虎徹さん。
今すぐキスしたくなっちゃいます。
食事会が終わったら電話しますから……ね。」
そう言ったバニーは信号待ちの間に、オレの膨れたままの頬にチュッとキスをした。