第16章 if...
「………虎徹さん?
何か言って下さい、虎徹さんッッ!」
いつもだったら直ぐに僕の名前を呼んでくれるのに……どうして!?
…………全部、僕が創り上げた幻想だったのか?
虎徹さんの声も姿も………
自分が赦されたいばかりに、僕は勝手に虎徹さんを利用したのだろうか?
「虎徹さん……ごめんなさい。
僕……僕は……」
その場にガクンッ…と膝を着きボロボロと涙を零す僕を、ファイヤーさんとスカイハイさんが抱き締めてくれた。
「さて……そろそろ我々も避難しなくてはね。」
そう言うスカイハイさんに僕は笑顔で答えた。
「先にファイヤーさんを連れて行って下さい。
レディファーストですから。」
「アラ……流石ハンサム♥」
「僕はここで待ってます。
それにホラ…ヘリがコッチへ向かってる。」
「もう……大丈夫ね、ハンサム。」
張り倒した僕の頬を今度は優しく撫でてくれるファイヤーさん。
「ハイ。」
だから僕も憑き物が落ちたような笑顔で力強く頷いた。
「では先にファイヤー君を連れて行くとしよう!
待っててくれたまえ、バーナビー君!」
「お願いします、スカイハイさん。」
いつも通りピシッと敬礼をしたスカイハイさんがファイヤーさんを抱えて飛んで行く。
その白い鳥のような姿がとても美しくて、僕の表情は自然に綻んだ。