第16章 if...
「お二方の気持ちは大変有り難いのですが……
僕のコトは放って置いてもらえませんか。」
「アンタッッ……
まだそんなコト言うのッッ!?」
「バーナビー君!
私達の気持ちを分かってくれないのかいッ!?」
《バニー……》
「だって……虎徹さんが呼んでるんですよ、僕を!
虎徹さんの元へ行けるなら僕は………」
「フッ…ザケンなあああッッ!!」
ドスの効いた声でそう叫んだファイヤーさんの平手が僕の頬を張り倒す。
「…………ファイヤー…さん?」
「調子に乗ってンじゃねーぞ、このクソガキがあッッ!!
タイガーがアンタを呼んだりするワケねーだろーがッ!」
僕は茫然としたまま、激昂して捲し立てるファイヤーさんを見つめた。
「タイガーがそんな男じゃないコトはアンタが一番知ってンじゃないのッ?
タイガーがアンタの死を望むなんて絶対に有り得ない!
だからタイガーが海へ沈んで、アンタが今ここに居るんじゃないの?
そのアンタがそんな調子で、タイガーに顔向け出来るのッ?」
「そうだぞ、バーナビー君!
タイガー君ならば何よりも君の活躍を、
そして君の幸せを願っているに決まってるじゃないかッ!」
そして未だに無言で立ち尽くす僕の胸を、ファイヤーさんの右手がドンと押す。
「死にたきゃ勝手に死にな、ウサギちゃん。
ホラ……さっさと飛び降りなさいよ。
…………だけど、その死をタイガーのせいにするのは
アタシが絶対に許さないから!」
ファイヤーさんの目からも、スカイハイさんの目からも流れ出している涙を見て僕は気付いた。
………虎徹さんの声が聞こえない。