第16章 if...
毎晩そんな状態なのだから、当然昼日中に影響が出て来るようになった。
デスクワークの最中に居眠りしたり、ヒーローとして出動中にも些細なミスを繰り返してポイントを逃したり。
こんなみっともない自分を晒すなんて、これまでの僕だったなら絶対に許さないハズだ。
今まで必死で築き上げてきたBBJのイメージ……
クールハンサムで常に沈着冷静、何をさせても完璧な完全無欠のスーパーヒーロー。
そんなイメージを壊してしまうなんて考えた事もなかった。
しかも僕にとっては幸か不幸か……
唯一無二のバディ、ワイルドタイガーを喪ったせいでBBJは不安定になっているのだと、シュテルンビルド中の人々がそう理解し僕を蔑まなかった事で自分自身の修正が効かなかったんだ。
最近は夜だけで無く、1日中虎徹さんの声が聞こえるようになった。
僕の部屋以外では姿は見えないけれど、それでも虎徹さんは頻繁に呼び掛けて来る。
《バニー……》
《可愛いバニー》
《好きだ》
《愛してる》
《俺のバニー》
《……………会いたいよ》