第16章 if...
私服に着替えてもう帰るばかりの格好で、オズオズと僕へ近付いて来るブルーローズ。
「………何か用ですか?」
僕は鬱陶しさを隠しもせず問い掛けた。
「さっき……
ファイヤーエンブレムが言ってたコト……」
「それが何か?
貴女には全く関係の無い話でしょう?」
その言い種が気に入らなかったのか、ブルーローズは僕を睨み付けて捲し立てる。
「アンタ、自分1人だけが世界中の不幸を背負ったような顔してるよね?
そんな可哀想な自分に酔い痴れているんじゃないの?
皆がハンサムのコトを本気で心配してるのに、
その気持ちに寄り添おうともしないで!
タイガーを亡くしてツライのはハンサムだけじゃないよ!
私だってこんなにッ………」
気が付けば僕は、ブルーローズを壁際に追い込んでいた。
「………ハ…ンサム?」
身体を寄せて左腕を壁に着いて退路を断つ。
「そういえば貴女も虎徹さんのコトが好きだったんですよね。
僕に奪われて悔しかったですか?
それでその虎徹さんが居なくなった途端に今度は僕に鞍替え?
ビッチは嫌いじゃありませんが
あまり節操が無いのもどうかと思いますよ?」
「ふざけないで!
誰がアンタなんかッ……!
人の優しさを素直に受け入れられないアンタなんかに
タイガーを渡すんじゃなかった!
アンタなんかッッ………」
僕は右手でブルーローズのアゴを掴み上げ、
「………………………煩いな。」
その喧しい唇を自分の唇で塞いだ。