第14章 君の手をひいて歩く僕の未来
「今夜は何でも好きなモン食ってくれよ-。
オジサンが奢っちゃうからさ。」
「いえ……そんな……」
「いいからいいから。
若い女の子が遠慮するなって。」
ニコニコと笑うタイガーさんに、尖っていた気持ちが一気に和らぐ。
それにこのお店。
バーナビーと食事するオシャレなダイナーやレストランとは違って、大衆的で適度に騒がしくて……落ち着いちゃうなァ。
でも……タイガーさんと二人っきりなんて初めてだし、ちょっと緊張する。
黙ったままコクコクとペリエを飲んでいた私に
「バニーとなんかあった?」
タイガーさんは直球を投げて来た。
「え……?
バーナビーから何か聞きましたか?」
「いーや。
バニーは何も言ってねー。」
「じゃあ、何かタイガーさんにご迷惑を掛けるようなコトが……?」
「あー……
先ず『タイガーさん』っての止めようぜ。
ちゃんはバニーの嫁さんになるんだろ?
だったら俺に取っても妹みてーなモンだしさ。
『虎徹』でオッケー!
……な?」
優しい笑顔でウインクするタイ……ンンッ…虎徹さん。
しかも私を『ちゃん』って……。
そんなささやかなコトが嬉しくて、私の気持ちは一層柔らかくなっていった。