第14章 君の手をひいて歩く僕の未来
あれから2週間。
一度もバーナビーに会ってない。
正直に言えばスゴく会いたい。
でも顔を見て話をしたら、またバーナビーを傷付けてしまいそうな気がする。
実はあの朝、マンションを出て職場のカフェへ向かう途中に、レディースクリニックに寄ってアフターピルを処方してもらって飲んだ。
その事が負い目になってて、バーナビーの顔を見られないっていうのもある。
どんな理由にしろ、私との子供を望んでくれているバーナビーに対して酷い裏切り行為だって思うから。
そんな日々の中でも毎日のように放送されるHERO TVでは、バーナビーの姿を見る事が出来た。
特に変わった様子もなく、これまで通りにポイントも獲得してるし………
そして……やっぱり、カッコイイなァ。
自分がこの人の腕の中で眠ってたなんて本当に夢みたい。
ううん……夢だったんじゃないのかな?
夢だったら………もう私は泣かなくてもいいのにな。
独りぼっちの狭いアパートで『会いたい』って……声を殺して泣かなくてもいいのにな。
その日も私は仕事を終えてトボトボと俯いて歩いていた。
そんな私に
「お嬢さん、一緒にディナーでもいかがですか?」
なんて声が掛かる。
あからさまに面倒臭そうな顔をして振り向いた先に立っていたのは………
「タイガーさんッ!?」