第14章 君の手をひいて歩く僕の未来
次の日、私は迷っていた。
今、仕事が終わったんだけど………『どっち』に帰るべきなんだろ?
今朝携帯をオンにしてみたら、私が送ったメール以降バーナビーからの着信もメール返信も入ってなかった。
ちょっとホッとして、ちょっと不安で……。
よくよく考えてみたらかなり失礼なコトしちゃったよね、私。
折角リザーブしてくれたスイートルームも、高価なシャンパンもフルーツも無駄にした。
それこそ私の代わりに誰かスポンサーの女性でも連れ込んで無駄にしてなければ良いけど………
バーナビーはそういう事しないよね。
あッ……もしかしたらタイガーさんを呼んで2人で飲み明かしたとか………
あるワケないか、そんなの。
考えれば考える程、どんどんと不安が湧き上がって来る。
うん、やっぱりちゃんと謝ろう!
そう決めた私の足は、バーナビーのマンションへ向かって進み始めた。
「……居るかな?」
バーナビーは私の指紋認証も登録してくれたから自分でキーを開けて部屋へ入る事も出来るんだけど、私はいつも先ずインターホンを鳴らしていた。
30秒くらい待って、居ないのかな……って思った時
「…………どうぞ。」
バーナビーの低い声が聞こえて、ドアがカチャリと開く。
「えっと……お邪魔…します。」
無表情なバーナビーに、やっぱり怒ってるのかな……なんてドキドキしながら玄関へ入るとドアが閉まりきった瞬間に、バーナビーは私をギュウギュウと抱き締める。
「お帰りなさい、さん。
………帰って来てくれて、ありがとう。」
いつもは私を労るように優しく抱き締めてくれるのに、こんなに力一杯締め付けられるのは初めてだ。
少し痛くて、少し苦しい。
でもその痛みや苦しさがバーナビーの気持ちをダイレクトに伝えて来るみたいで、私もバーナビーの背中に腕を回した。