第14章 君の手をひいて歩く僕の未来
「はあああー……」
結局断りきれずに、私は仕事を終えてやって来たフォートレスホテルのメインエントランスで大きな溜息を吐く。
バーナビーは私をスポンサーに紹介したいって言ってたよね?
素直に考えればそれは凄く嬉しい事なんだし………
うん、私の方こそバーナビーに恥をかかせないように頑張らなくちゃね。
私は一つ大きく頷くと、意を決してホテルへと足を踏み入れたんだ。
ロビーでバーナビーと合流して、直ぐに連れて来られたのは50階のロイヤルスイートルーム。
スッゴくドキドキしちゃったけど、部屋の中にはヘアメイクさん達が居て3人掛かりで私を一生懸命着飾ってくれた。
ヘアセットしてもらって、バッチリフルメイクで、バーナビーが選んだっていうバラ色のドレスを着せてもらって。
ヘアメイクさん達に「お綺麗だわ」なんて持ち上げられて照れ笑いしてみたけれど………
姿見に映る私は『私』じゃなかった。
「バーナビーさんが首を長くしてお待ちですよ」って促されて部屋を出る。
「どう……かな?」
恐る恐る目の前にいるバーナビーに聞いてみたけど、バーナビーはじっと私を見つめたまま無言だ。
「や…やっぱり、おかしいよね。
私にこんなドレス似合うワケないし……」
「あ……違うんですッ!」
「………ッッ!」
バーナビーがそっと私の腰を抱き、顔を寄せて来る。
「さんがあんまり綺麗だから僕、ビックリしちゃって。
今夜さんをエスコート出来る僕は
世界一幸せな男だな。」
「ふふ……またそんな大袈裟なコト言っちゃって。」
鼻先を擦り合わせながら囁き合う私とバーナビーを、ヘアメイクのお姉さん達は蕩けてしまいそうなうっとりとした視線で見つめていた。