第1章 Red Lip
「お相手はもう気付いたみたいよ。
バーナビーも素直になったら?」
まだクスクスと笑い続けるさんをそっと手放したバニーが、突然オレの前に正座して俯く。
「ど……どーした、バニー?」
「あの……虎徹…さん…」
そっからは言葉を繋げずモジモジとし続けるオレ達をさんはニッコリと見遣り、散乱した衣類をかき集めると
「シャワー、お借りするわね。」
って、部屋を出て行っちまった。
ベッドの上でオレとバニーの2人きり。
しかもバニーは全裸だし、オレも大事な部分が剥き出しで……。
漸く自分の気持ちに気付いたばっかりなのに、この状況。
ちょっとハードルが高過ぎるぜ!
「なあ……バニー…」
「虎徹さんはッ……」
2人同時に上げた声。
でも確実にバニーの方が勢いがあって、オレが怯んだ隙にバニーが捲し立て始める。
「虎徹さんはまだッ……
友恵さんの事を愛しているんですか?
いえ……当然ですよね、そんなの。
奥様なんだから……。
でも……僕がこんな事言うのはオカシイって分かってるんですけど……
今、虎徹さんの隣に居るのは僕で……
友恵さんではなくって……
僕がずっと……」
なあ、これって………
自惚れてもいいのか?
バニーもオレと同じ気持ちだ……なんて。
「バニー……」
俯いたまま肩を震わせるバニー。
その肩にそっと手を掛けるとバニーはスッと顔を上げ、その熱く潤んだ視線がオレを射貫いた。
「僕じゃ……ダメですか、虎徹さん?
僕は虎徹さんじゃないとダメです。
僕は……
僕はこれから先、ずっと貴方の隣で……
生きて行きた……ッッ…」
気が付いたらオレはバニーの肩を引き寄せてキスしてた。
だって我慢出来ねーよ。
綺麗でカッコ良くて、皆の憧れのスーパーヒーローBBJが、だよ……
オレの前では泣きそうな顔して「虎徹さんじゃないとダメ」なんてさ。
もう可愛くて可愛くて……
オレだってバニーじゃなきゃダメなんだよ。