第11章 兎と薔薇はどっちが強い?
「そのタオル、使わないんですか?」
「ハァ?
何、いきなり……」
「いえ……
貴女、タオルを見つめたまま動かないですし不思議だなァ…って。」
「別にッ……
そんなの私の勝手でしょ!」
「まあ、そうなんですけどね。
僕としてはタオルという代物は使用してこそ意味があると……」
「今日はヤケに絡んでくるわね、ハンサムってば。
いつもは他人の事になんかまるで興味が無いって顔してるクセに。」
「それは失礼だな。
僕はいつでも皆さんと良好な関係を築きたいと思っていますよ。」
「………嘘クサ。」
「ああ!
タオルと言えば………コレ!」
「ソレが何?
それハンサムのでしょ?」
「スポンサーから戴いたんですよ。
オーガニックコットンを使用したボリューム満点のパイル。
肌触りはカシミアのようで、女性に大人気なんだとか。
ニホンという国のイマバリという場所で作られている
最高級品だそうです。」
「…………だから?」
「貴女に差し上げますよ。
もちろん未使用です。」
「……は?
どーして……」
「やはり女性に人気の品であるなら
僕よりも貴女に使ってもらった方が
タオル冥利に尽きるというモノでしょう?」
「タオルミョウリ?」((ハンサムって時々ヘンな言葉を使うよね))
「あ、でも……差し上げるのは吝かでは無いのですが……」
「ヤブサカ?」((ホラ、また))
「一方的に貰うというのも、気を遣ってしまいますよね?
ええ、貴女が僕から施しを受ける理由なんてないワケですし……」
「ちょっと、ハンサム……」
「分かりました!
では対価交換にしましょう!
貴女が今手に持っているタオル、ソレと交換でッ!!」
「………最高級タオルとじゃ、全然対価じゃないと思うんだけど。」
「イイんですよッ!
女性はそんな細かいコトを気にしなくても!
この取引、貴女にとって損は無いハズです!
さあッ………交換しましょうッッ!!」
「別にソレ、要らない。」
…………………………………………………………………………。