第10章 真夏の夜の訪問者 前編
窓から差し込む光の眩しさに目を覚ます。
「………ゥゥ…」
カラカラに乾いた喉からは呻き声さえ出なかった。
逆上せたように身体が熱い。
吐き気もする。
混濁した意識を何とか研ぎ澄ませて、俺はこの状況に至った経緯を頭の中で探ってみた。
そして………
「…ァ……ニ…」
声にならない声でバニーを呼ぶ。
そう、バニーが居たハズだ。
だって……俺とバニーは昨夜…………
だけど部屋にバニーの気配はまるで感じられない。
乱れに乱れたシーツが、あの行為は夢じゃなかったんだって証明してるのに。
俺に黙って帰ったのか?
俺をあんな状態にしておいて?
…………どうもピンと来ねえ。
そんなのバニーらしくねえんだ。
身体中の鈍痛に顔を顰めながら寝返りを打った時、足先にコツンと触れた奇妙な感触。
「…………ッッ!?」