第10章 真夏の夜の訪問者 前編
ベッドに寝かされた俺の全身を、バニーの視線が舐めるように這う。
怠くて動かせない身体とは裏腹に意識だけは敏感だ。
………それから、何故かアソコも。
アンダーウエア越しでもハッキリと認識出来る程に、俺のイチモツは勃起していた。
「素敵です、虎徹さん。」
「ア…ンッッ……!」
バニーの長い指がアンダーウエアの上からイチモツの形をなぞれば、俺は情けない声を上げちまう。
ちょっと待てよ。
何だ、コレ?
俺とバニーはこんな関係じゃねえ。
………そりゃ俺は確かにバニーの事が好きだ。
何度もバニーとキスしてえ……
バニーを抱きたい、抱かれたいって……そう思ってた。
多分、バニーも満更じゃないんじゃねーか……って。
だけど、もし拒絶されたら……
気持ち悪いって思われたら……
もうバニーの隣に居られなくなる可能性が怖くて、結局俺は自分の想いに無理矢理蓋をして耐えて来たのに……。
「ばに……ど…して……?」
ベッドの脇に立ったまま俺を見下ろすバニーは、ずっと不敵な笑みを浮かべている。
「だって、貴方……僕の事が好きでしょう?
いつもそういう目で僕を見てた。
まるで視線で僕を犯すみたいに……」
「ごめッ……ごめん……バニー。
俺……」
…………やっぱり不愉快だったんだ。
こんなオッサンがさ……若くてキレイな男に惚れて、その上イヤラシイ目で見てるなんて。
恥ずかしくてみっともなくて……
自己嫌悪に涙が滲む。