第8章 love's oracle ~dandelion~ Ⅱ
「…………ったく。」
俯いた俺が小さく呟いた時、「どうぞ、マドモアゼル」とメートル・ディが椅子を引く。
あ……を支えてやらねーと……
だけど慌てて顔と腰を上げた俺の目に映ったのは………
「メルシー」とメートル・ディに向かって可憐な笑顔を浮かべたが、如何にもレディらしい柔らかい動きで腰を下ろす姿だった。
そして向かいに座る俺の顔をじっと見つめて、またふわりと笑う。
………………そっか。
………そーだよな。
の目はもう、しっかりと俺を捉えているんだ。
「アペリティフをお持ち致します。」
そう言ったメートル・ディが席を離れて行っても、俺は何も言えないままだ。
只、のグリーンアイから目を反らすコトが出来ねえ。
前からキレイだって思ってたけど、それが今はちゃんとこの世界の光も色も……
俺の姿も……全部映してるんだって思ったら、最高級のスター・エメラルドよりも気高く美しいとすら感じる。
その時………
「ありがとう。」
久し振りに聞いたの声。
「だから……『ありがとう』って……
おかしいだろ、ソレ。」
「どうして?」
「だって俺はあんなにを待たせて……
しかも結局会わないまま………」
「そうだね。
目が治って、やっとライアンの顔が見れるって思ったのに……
貴方はもう居なくて……」
それでもの言葉に棘はなかった。
淡々と事実を述べてるだけに思えた。