第8章 love's oracle ~dandelion~ Ⅱ
「いや、待てッ!
ちょっと待ってくれ……」
俺も慌ててガタンッと椅子を鳴らして腰を上げると
「いい、ライアンさん!」
千代紙がズイッと顔を寄せて来る。
「さんをここに連れて来るのが私の役目だったんだけど……
貴方に置いて行かれても、恨み言1つ言わないで
涙を流すのをずっと耐えてたさんが
今夜貴方に会えるって分かった瞬間にボロボロ泣いたのよ!
そりゃあもう、嬉しそうに。
クシャクシャの笑顔で泣いたの!」
千代紙の有無を言わせねー勢いもあったけど、そんな話を聞かされて俺が何か言えるハズもねー。
「もうさんを泣かすのは、
同じ女として私が許さないからねッ!」
「は?
だからアンタ、女って……」
当然、俺と一緒にオッサンとバーナビーのツッコミも入るだろうと思ったのに、2人は納得したようにウンウンと頷いていた。
あー……コレ、もう完全に千代紙に掌握されてやがるじゃん。
もうさ……アンタ達には敵わねーよ。
ホント、お手上げ……参りましたってヤツだ。
「分かったよ。
………色々とすまなかったな。」
全身の力が抜けたようにストンと座り直した俺を見届けた3人は
「さあ、さん。
これが本物のゴールデン・ライアンです。
いかがですか?
僕の方がハンサムだとは思いますが。」
「言うねー、バニーちゃん。
おう、さん。
今夜はガッツリとライアンを叱ってやって構わねーからな!」
「さん、良かったね!
ライアンさんに美味しいモノいっぱい食べさせてもらってね。」
好き勝手言いたい放題言って、楽しそうに和気藹々と店を出て行った。