第8章 love's oracle ~dandelion~ Ⅱ
「当然、オッサンとバーナビーの奢りだよな?
メッチャ高いモン食ってやる。」
意地悪く笑ってメニューを拡げた俺の背後から、落ち着いた柔らかい声が聞こえた。
「ゴールドスミス様、ご注文のお品をお持ちしました。」
「はあ?
まだ何も注文してねーし……」
俺が振り返った先に居たのは、ニッコリと微笑む顔見知りのメートル・ディ。
そしてそのメートル・ディの斜め後ろに立っていたのは…………
「………。」
その名を呼ぶ俺の声は、情けない程に震えてる。
「………どーして?」
隠しきれない動揺の中、俺は頭の中でこの状況を把握しようと考えを巡らせて………
恐らく正解に辿り着いた。
「お前らの仕業か?」
オッサンもバーナビーも、千代紙までも……してやったりとニヤニヤしてやがる。
「アッ……もしかして、ロイズが俺を呼び出したのも?」
「勿論そうですよ。
そうでもしないと貴方、シュテルンビルドに来てくれないでしょう?
貴方は契約関係にはキッチリとした信念を持っていますからね。
だからちょっとロイズさんにもご協力を頂いたんです。」
またしても『いい気味だ』と言わんばかりに口角を上げるバーナビーに俺が唇を噛むと
「ま、そーゆーコトだから。
晩メシはさんと2人で楽しんでくれよ。」
オッサンがそう言って3人は席を立っちまった。