第8章 love's oracle ~dandelion~ Ⅱ
「お前、晩メシまだなんだろ?」
オッサンが聞いてくる。
「ああ。」
「ヨシ!
じゃあ食いに行こーぜ。
遅くなっちまったけどライアンの送別会ってコトでさ。」
「そうですね。」
なんてニコニコと笑うオッサンとバーナビー。
どうやらコレ、断るワケにはいかねーみたいだな。
正直に言えば俺だって誘われたのは嬉しい。
まあ、何だかんだで気遣いの出来る2人だ。
今更の話題を持ち出して、もう『終わった事』を蒸し返すつもりもねーだろう。
「オッケー!
ゴールデンライアン様の送別会だ。
豪勢に頼むぜ!」
「…………で?
俺の送別会だっつってんのに、何でこの店?」
今居るのは俺が泊まってるホテルの中にあるフレンチ。
そう、と最初で最後のデートをした、あの店だ。
「オマケに何でアンタまで居ンの?」
「だって、このお店。
一度来てみたかったんですよー。
2部リーグのお給料じゃ高嶺の花過ぎて。
…………ダメ?」
そう言って可愛らしく笑う千代紙に、俺も毒気を抜かれちまった。
「ハァ……
まあ、いいけどよー。」
あれよあれよという間にオッサンとバーナビーにここまで連れて来られて、店の前で千代紙と合流して、俺達は4人でテーブルを囲んでる。
不思議な光景だなァ、コレ。
以前だったら絶対に考えられなかったメンツだ。
でも………何か、悪くねえ。