• テキストサイズ

君とならキスだけで【TIGER&BUNNY】

第7章 love's oracle ~dandelion~ Ⅰ


なかなか止まらないの涙を根気良く拭い続けてやれば、漸く少し落ち着いてきたみたいだ。

「ごめんなさい。
 私がこんな事、言える立場じゃないのに……」

俺から距離を取ろうとするの手をグイッと引き寄せ抱き締める。

あー……キスしてえ。

チェリーみたいな唇だけじゃなくて、顔中にキスして砂糖菓子みたいに甘く蕩けさせてえ。

けど……我慢だ、我慢!

さっきバーナビーにも牽制されちまったしな。

それになにより……自分だけの欲望で突っ走って、に嫌われるのなんてまっぴらゴメンだ。

そんな邪な考えを吹っ切るために、俺は当たり障りのない会話で誤魔化す事にした。

「そーいえば……モリィはどーしたんだ?
 さすがに病院には入れねーだろ。」

「あ……モリィはお母さんと先に帰ったの。」

「は……?
 お母さん?」

「実はね……
 お母さんが待ち合わせ場所までコッソリ覗きに来てたらしくて。
 時間が過ぎても帰ろうとしない私を見兼ねて
 遂には声を掛けてきたんだけど……
 その後にバーナビーさんが来てくれたんだ。」

「そっか………」

「………ゴメンなさい。」

「いやいやッ……
 全然謝るよーなコトじゃねーだろ!
 娘を心配する親なんて至極当たり前じゃねーか!」

「………うん。
 ありがと。」

俺の腕の中でがホッとしたように小さく息を吐く。


そっか………

だけじゃなくて、の家族にも俺がヒーローだって知られちまったか……。

きっと今頃、複雑な想いでいるんだろーな。

ヒーローとはいえ、娘を傷付けた奴と同じ………《化け物》

普通の男であれば良かったのに…と、どうしてゴールデンライアンなんだ…と、遣りきれない感情に押し潰されそうになってンだろーな。

を見てれば分かるよ。

大切に大切に……愛されて育ったんだって。

じゃあ…………

俺に出来るコトなんてさ………
/ 461ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp