第6章 Loving you is Killing me.Ⅲ 後編
Tシャツの裾をカーゴから引き抜き、たくし上げていく。
僕の肌に直接触れる虎徹さんの掌が、腹筋をなぞるように這い回って………
「………ッ!
ダメッ……」
その手を僕はグッと力強く押し留めた。
だって僕の身体にはライアンが遺したキスマークが……
そんな態度を不審に思ったのか、虎徹さんは少し首を傾げて視線を這わせ
「アー……」
そして全てを悟ったみたいだ。
「ごめんなさい……僕…」
全身にライアンの名残を残したまま、虎徹さんに触れてもらおうなんて許されない気がした。
自分がとても穢いような思いで、ギュッと目を瞑る僕の耳に届いたのは予想外の言葉。
「キレイだな……」
「………え?」
「バニーの肌は、どこもかしこも白くて……
ちょっとピンクがかっててさ……
スベスベしてて、筋肉着いてンのに柔らかくて……
そこにこーんな花片みてーな可愛い跡が散ってるなんて……
スゲー……キレイだ。」
まさか、こんな風に言われるなんて思ってもみなかった。
虎徹さんに不愉快な思いをさせてしまう事が、僕は何よりも怖かったのに。
もちろん、この言葉が100%の本音じゃないだろう。
それでも僕を責める事なく優しく微笑んでくれる虎徹さんに、彼の手を押し留める力は一気に抜けていく。
「大丈夫だ、バニー。
オレが全部……上書きしてやるから…」
「アッ……」
容易く脱がせたTシャツを放り投げる虎徹さん。
そして彼の次の獲物は僕の両手首だった。
ガッチリとシーツに縫い止められ、露わになった上半身にネットリと舌を這わされる。
花片だと表してくれたキスマークをひとつひとつ、丁寧になぞり強く吸い上げるそのチクリとした小さな痛みが………
僕には堪らなく気持ちイイんだ。