第1章 Red Lip
暫くしてからグッタリと崩れ落ちピクピクと痙攣を繰り返す間も、虎徹さんの腰は止まらなかった。
「ダメ…ダメッ……
まだ…イッてる……」
「何度でも…イッちまえばいい。」
「や…やああ……
お願いッ…
許して……タイガー…」
さんが涙声で許しを乞うても、虎徹さんは変わらず貪るように突き続ける。
「や…だ…
イヤ…ア……」
強制的に与えられる刺激を避けようと身を捩っても
「大人しくしてろって……
オレも…直ぐ…だからッ…」
さんの細い両手首は、虎徹さんの大きく武骨な手に捕まってシーツに沈んだ。
「ハアッ…ハアアッ……アッ…
…ぇ……」
僕は荒い呼吸の中で虎徹さんが何かを呟いている事に気付く。
「も…イク……
出る……もぇ…
出すぞッ……友恵ッッ!」
『友恵』
それは虎徹さんの亡くなった奥さんの名前だ。
ふと考えてみれば、虎徹さんは一度もさんの名前を呼んでいない。
いや、そもそも名前すら聞いていないのかもしれない。
さんのNEXT能力に当てられて欲情してしまっても、虎徹さんが抱いているのは『友恵』さんだったんだ。