第6章 Loving you is Killing me.Ⅲ 後編
「虎徹さん………僕…」
こんな近くで虎徹さんを感じてしまえば、どうしても彼を無理矢理抱いたあの夜が思い出されて、カタカタと身体を震わせてしまう。
そんな僕の頬を、虎徹さんの大きな両手が慰めるように包み込んでくれた。
「なァ……今夜はお前を抱きたい。」
「エッ…でも……」
「抱きたいんだよ、オレが。
まァ、コレもイヤだとは言わせねーけど。」
「ンッッ……」
虎徹さんの唇……熱い。
でも僕の唇を割って入って来る舌はもっともっと熱くて……
僕は茫然としたままそれを受け入れていた。
長いキスだった。
長くてイヤらしくて……
呼吸すら赦してくれないような。
そして漸く虎徹さんの顔が離れた時には、もう僕は熱に浮かされたみたいにグッタリとして……
「お前が好きだ。」
そんな僕の耳に届いたのは、夢にまで見た言葉。
「悔しいけど……ライアンの言った通りだよ。
お前に好きだって言われて、お前に求められて……
嬉しくて堪らなかったのにさ……
オレ、怖かったんだ。
オレなんかがBBJを独り占めするなんて許されるワケねーだろ…って。
それで能力も減退しちまったオレが隣に居たって
お前の為にならねえなんて都合のイイ言い訳作ってさ。
………お前から逃げたんだよ、オレは。」
「………虎徹…さん。」
「でもやっぱりッ……
お前がオレ以外のヤツと一緒に居るなんて我慢出来ねえ!
好きだッ!
好きなんだよッ……オレも!
お前を今すぐ抱き尽くしちまいたいくらい!
だからお前がオレにしたコトだって……
ちゃんと理解出来る。
……ってか、今思うと……嬉しかったっつーか……」
「……ヒ…ゥッ…ヒッ……クッ…ンン…」
「エ……?
エエッ……お前、どーしてまた泣いてンの!?」
これが泣かずにいられるもんか。
もう自分でも全く制御出来ない程に、僕はボロボロと涙を溢れさせて虎徹さんの胸元をギュッと握った。