第6章 Loving you is Killing me.Ⅲ 後編
「あの……虎徹さん。
そろそろ下ろしていただいても?」
「……は?」
そう、僕の身体はまだ浮いている。
背後から虎徹さんの両腕に抱えられて持ち上げられているんだ。
「エッ…アッ……そーだよな!
オレってば、いつまで………」
虎徹さんはアワアワと狼狽えたけれど……
でも何故かピタリと動きを止めて、僕を下ろそうとはしない。
「………虎徹さん?」
首を捻って虎徹さんの様子を伺うと
「ウワッ!」
今度はガバッとお姫様抱っこされてしまった。
「アレ……あの…どうして?」
僕が虎徹さんをお姫様抱っこした事は何度もあるけど、されるのは初めて。
コレって……こんなに恥ずかしいモノなんだ。
きっと今、僕の顔は真っ赤になっちゃってる。
「お前……カーワイイなァ。」
「え?」
「このままベッド、行くぞ。」
「え……ええ?」
「何だよ?………イヤか?」
「あの……そういう事ではなくて……」
「ま、イヤだ…つッても離してやらねーけどな。」
真顔の虎徹さんはそのままスタスタとベッドルームへ向かう。
「お前、こんなデケーベッドに1人で寝てンの?
あ……1人じゃ…なかったんだっけ?」
僕の身体をそっとベッドに横たえてから、虎徹さんが呟いた。
「違いますッ!
このベッドに寝た事があるのは僕だけですッ!
ライアンは今日初めて家に来たから、まだッ……」
必死になって訴える僕を見た虎徹さんは、我慢出来ないと言った様子でプッと吹き出し
「ハハッ……そーかそーか。」
僕の頭を優しく撫でる。
「じゃあ……お前以外でココに寝るのはオレが初めてってコトだ。
光栄だねェ。」
そう言った虎徹さんはギシッとベッドを軋ませて、僕へ覆い被さって来た。