第5章 Loving you is Killing me.Ⅱ 後編
その後、スグに意識を失っちまったバーナビーをベッドに残し、俺はシャワーを浴びた。
ゆっくりと時間を掛けて、自分の中の怒りや空しさやもどかしさを整理する為に。
みっともなく叫び出しちまいそうな感情を何とか抑えてベッドへ戻ってみれば、そこでは上半身を起こしたバーナビーがキョロキョロと狼狽えている。
「オー……起きたか、王子様。」
出来るだけいつも通りを装ってそう声を掛けた俺を見咎めたバーナビーの目は不安そうに揺れていた。
「……どーした?」
ベッドに腰を下ろし、その潤んだ目を見つめてやると
「どこへ行ってたんですか!?」
声を荒げたバーナビーが俺にすがり付く。
「どこって……
シャワー浴びてただけ。
アンタも浴び……」
「一人に……しないで……」
「………ッ!」
甘えてる?
………いや、違う。
コイツ、怯えてる。
怖がってるんだ。
俺は大きく息を吐いてから、バーナビーの背中をゆっくりと擦ってやる。
「もう怖くないぜ、バーナビー。
俺はどこにも行かねーから。
ずっとアンタの側に居る。
大丈夫だ。
怖くない。」
俺の言葉を聞いたバーナビーはフッと表情を和らげると、そのまままたクタッと眠っちまった。