第3章 空白の時間
の姿を見なくなって2週間が経った時、俺は誰が見てもわかるくらいに凹んでいた。
あの木兎ですら俺の事を心配するくらいだから、相当なんだろう。
さすがに俺が可哀想に思えたのか、赤葦がため息を吐きながら、話があります、と言ってきた。
「俺、のこと知ってたんです」
「は?」
最初に聞いた時、知らないって言ってたよな?
「正確に言うと、思い出した、ですけど」
いや、もっと意味がわかんねえ。
「木葉さん、校内新聞とか掲示板なんて見てないでしょう?」
「あー…」
正直見たことがない。
月イチで配られる校内新聞は、誰かが表彰されたとか、先生たちのコラムみたいなのとか、写真部の写真とか、なんかいろんなのが載ってるけど、とりあえず家に持って帰ってポイ。
校内にある掲示板は、行事のお知らせとか、部活の入賞者とか、校内新聞の中でも大きな出来事が張り出されてるんだけど、毎回素通り。
「まあ、ほとんどの人が見てないでしょうからね」
じゃあなんでお前はその内容を知ってんだよ、とジト目で見ると言いたい事が伝わったのか、赤葦はそのまま続ける。
「たまたま自習だった時、やる事なくて校内新聞読んだ事があったんです」
「あれ面白いか?」
「いえ別に。ただ、そこにの名前が載ってたんです」
が?なにかで表彰されたとか…?
「ピアノの、なんか有名なコンクールで賞を取ったらしいです」
「ピアノ?」
「俺も詳しくは知らないですけど、本人にも確認したんで事実です」
「じゃああの時、教室で2人で話してたのって…」
「知ってたんすか?」
「たまたま見かけた」
そうですか、と言って、赤葦はあの時の会話を教えてくれた。