第3章 空白の時間
の口から、好き、という単語が出たのは2回だけだ。
好きです、と初対面で告られた時。
いつになったら好きになってくれますか、と少し悲しそうに聞かれた時。
他は大抵、どうでもいい話をする。
今日は天気が良い、とか、課題やるの忘れた、とか、あとはバレーの話。
俺の事はいろいろ聞いてくるけど、はあまり自分のことを話さない。
俺は気になってる事がたくさんあるのに。
なんで体育は毎回見学なのか、とか、なんで部活見に来ても最後まで居ないのか、とか。
でも一番気になるのは、あの日赤葦と何話してたのか、だ。
なんで俺がこんな事思ってるのかっていうと、ここ1週間、全くに会っていないから。